行動経済学の分野で必読の書「予想通りに不合理 ダン・アリエリー」を紹介

予想通りに不合理

行動経済学と聞いて、思い浮かべることは何でしょうか。きっと、ほとんどの人が「お堅い学問」だと答えるはずです。

経済学はそうかもしれませんが、行動経済学は違います。「心理学+経済学」の学問です。それも堅そうに聞こえますが、心理学の部分が多く、さらには実験データをもとに、「なぜこういう行動をしてしまうのか?」がメインなので、非常に読みやすくてわかりやすい学問です。

ビジネスマンだけではなく、普段の生活の場でも役に立つ行動経済学。「予想通りに不合理」から学べることはたくさんあります。紹介させてください。

行動経済学とはなんなのか

本書の作者・ダン・アリエリー氏は心理学と行動経済学の教授です。行動経済学のことを知るためには、経済学のことも知っておく必要があります。

僕が勉強した範囲でしか説明できないのですが、経済学とは「人間が正しい経済活動をする」という前提で数字を出していく学問です。この「正しい経済活動をする人」のことを「エコン」と呼んだりもしますが、すべの人間が「正しい経済活動」をするはずがありません。

「できるだけ安いものを」と車で1時間以上もかけて遠くのスーパーに行く人もいれば、ちょっとした手続きで2割引になる旅券なのに「手続きが面倒臭い」という理由で定価で買う人もいます。携帯の料金を延滞したり、借金があるのに忘れていて利子を多く取られたり。こういう人って、いっぱいいますよね?

そんなことは無視して、「人間は正しい経済活動をする」という前提で語られるのが経済学です。ここに反旗を翻したのが行動経済学です。

人間の「心理」を考慮した経済学が行動経済学

皆さんご存知のように、僕たち人間は正しい判断をするとは限りません。「思い込み」が影響したり、目の錯覚や営業マンの宣伝の仕方、ネットサーフィンをしていての広告。様々な要因によって、損をする判断をしてしまうことだってあります。

なぜ間違った判断をしてしまうのか。これには理由があるのです。そこを教えてくれるのが行動経済学でもあります。

だからこそ、本書は「予想通りに不合理」というタイトルでもあるのでしょう。

実験内容と結果から人間の行動を分析する本

どんなものでも「学」とついてしまうと難しそうに感じますが、ご心配なく。本書には経済学用語はほとんど登場しませんし、わかりやすい表現ばかり。

実験をもとに人々がどのような行動をするか。その結果を分析して、本来ならやるべき行動を示してくれるものなので、楽しみながら学べます。

読んでいて楽しい実験ばかり

実験方法や結果もたくさん書かれている本書は、楽しみながらスラスラと読めます。例えば、僕たちは「ものを盗んではいけない」という当たり前の考え方を持っています。でも、物によっては平気で罪を犯すものなのです。

ある学生寮の冷蔵庫に、コーラと皿に載せた1ドル札を置いておきました。しばらくして中をのぞいて見ると、コーラの数は減っていて、1ドル札だけは無事。どちらも勝手に持って行ってはいけないのですが、罪の意識に差があるのでしょう。でも、コーラが1ドルで売られていたとしたら、同じことなのではないでしょうか。

スーパーで万引きするのは犯罪ですが、スーパーのトイレに置いてあるトイレットペーパーを持って行く人っているじゃないですか?あれも同じなのでしょう。

ビジネスで役に立つ実験が盛りだくさん

このほか、「無料の力」や相対効果、保有効果などなど、為になる実験や文献が盛りだくさんです。実験そのものも面白ければ、「そういえばそうだよな」なんて感心することもたくさん書かれています。

マーケティング部に所属していたり、宣伝・広告関係の仕事をしている人なら、間違いなく読んだ方がいいです。売上をアップさせるためのヒントだらけですから。

行動経済学の分野で必読の書

僕たちは「目先の利益」を優先します。例えば、すぐにもらえる100万円と、1年後にもらえる101万円なら前者を選びがちです。どちらがお得なのかは後者なのは間違いないのですが、間違った判断をしてしまいます。

宝くじや競馬などのギャンブルにハマっている人も、計算してみると損をするとわかるはずなのに、止めることができません。クレジットカードを使って分割払いをするのも同じことです。「すぐに手に入れたい」という気持ちが優先して、結果的に普通に買うよりも高くなるのに買ってしまう。

だから人間とは不合理な行動をする生き物なのです。

もしかしたら、あなたも知らないうちに損をしているのかもしれません。僕は、この本でたくさんのことに気づかされました(笑)

行動経済学を勉強したいなら、本書は必読の書です。このほか、「ファスト&スロー」も必須ですね。

なお、ダン・アリエリー氏は「不合理だからうまくいく」も書かれています。こちらは、「予想通りに不合理」とかぶっている部分もありますが、補完的な意味合いの強い本でもあります。本書が楽しかったのなら、読んでみることをお勧めします。